彼はその当時、
フリーターでした。

今はもう閉店してなくなってしまった
個人経営のカラオケ店。

そこでアルバイトとして働き、
月に8万円程度の収入を得て生活していました。

いくら実家住まいでも、
自分の車を所有していたので、
ガソリン代や車の保険代などはかかります。

朝食は食べず、
昼食は100円以下の安いカップ麺。
空腹はタバコを吸って紛らわせます。

そんな彼はある日、匿名でメッセージをやりとりできる
ChatPadというチャットサービスを初めて利用しました。

顔の見えない相手との暇つぶし

その日は休日で、
彼は暇を持て余していました。

友人たちは皆、
正社員として働いている平日ですから。

「どうせ、こんな時間にいる人間は
ニートかフリーターか、不真面目な学生くらいだろう。」

彼は、タバコを咥えながら、
初めてそのチャットにインしてみました。

「こんにちは、はじめまして」

すぐに返信が返ってきました。
チャットの相手はどうやら大学生のようです。

「暇だね」

「だねー」

「あんたどんな人？」

「俺はフリーターだよ。休みなんだ。」

そんな短文のやりとりをしていると、
チャット相手の素性がだんだんとわかってきました。


この相手は、
関東方面の私立大学に通う22歳。

父親は地元で会社を経営しているらしく、
将来はその会社に就職し、次期社長になる・・・。


「へ〜次期社長とかすごいな。俺を高給で雇ってよｗ」

そんなやりとりをしていると、
チャット相手はこう続けました。


「けどうちブラックだぜ？社員はクソ薄給で働いてくれてるｗ
しょせん社員は駒だからさ、お兄さん雇っても使い潰しちゃうだけｗ」

社員が駒とかひどくないか？

その回答にフリーターは驚いて、
思わず続けました。

「少しくらいは社員さんに還元すればいいじゃん？
社員が駒とかひどくね？正気とは思えんわ。」

「は？何言ってんの？労働者と経営者は違うんだぜ？
お兄さんもフリーターなら社会の底辺じゃんｗｗｗ」

そこから先は、少々の言い合いになり、
気分の悪くなったフリーターは、チャットを閉じました。

あぁ、気分が悪い・・・。
彼はモヤモヤとイライラで、
せっかくの休日を台無しにしました。


もちろん、
このフリーターというのは私のことです。

私は大学を卒業後、
正社員として1年間ほど働きましたが、

「ここでは自分の望む未来は得られない」

と感じて辞めて、アルバイトで生活していました。
が、このままで本当にいいんだろうか、とも思っていました。

今も引っかかるセリフ

私は今も、
この時のやりとりを思い出すとムカついてきます。

実際、顔も名前も性別も分からない相手ですから、
この次期社長と息巻く学生は、嘘を付いているニートかもしれません。

しかしどちらにせよ、
私は「しょせん社員は駒だから」という言葉が、
非常に癪にさわるものでした。

そんな最低な言葉があっていいんだろうか。
この世の経営者はみんなそんな人達なのだろうか。

もしかして自分が働いていた
あの会社の社長も、自分のことをそう思っていたのでは？


人間不信までは行きませんでしたが、
その日のタバコの消費本数が多かったのは覚えています（笑）

そして今、社長さんたちと仕事して・・・

私は今、
法人相手の仕事をしています。

主に中堅・中小零細企業様の
広告・集客・企業ブランディングに携わる仕事です。


お客様の多くは経営者だったり、
次期社長のポストに就く方々です。

幸いなことに、私のクライアントには
冒頭のチャット相手のような最低な経営者は一人もいません。

皆さん、社員さんのことを考えて、
愛を持ってビジネスを継続されている方々です。

でも、そんな素晴らしい経営者の方々と仕事ができるのは、
そうではない人たちからの依頼をお断りしているからです。


つまり、お客様を選ばせていただいています。


「客を選ぶなんて失礼で厚顔無恥な野郎だ！」
という方もいるかもしれませんが・・・私は構いません。

私は「尊敬できる人」と仕事がしたいのです。

誰と仕事をしますか？

ここから先は、あなたにもお聞きしたいです。


あなたは誰と一緒に仕事がしたいですか？

社員だったり・・・
お客様だったり・・・
取引先だったり・・・

もし、あなたやあなたの会社で働く社員に、

「この人とは仕事したくないな」

という感情があると、
きっと生産性も売上も利益も落ちていきます。


つまり、
生産性や売上や利益で伸び悩んでいるなら、
お客さんを選ぶことで解決するかもしれません。


それだけではありません。

人財確保や労働時間の短縮や、
顧客満足度を上げることにもつながります。

誰をバスに乗せるかも、
企業ブランディングの大切な要素です。


追伸
1日一箱以上、タバコを吸っていた私も、
禁煙してからもう5年を超えたので、成功と言っていいですかね？（笑）


追伸2
今日の話に通じる記事を
以前も書いていたのでシェアしますね。

→仕事を断ると儲かる…その理由